傍腫瘍症候群
ゴロ「どうしよう、ノーヘルアランの禁煙」

どうしよう:傍腫瘍症候群
ノー :脳脊髄炎
ヘル :辺縁系脳炎
ア :亜急性小脳変性症
ラン :Lambert-Eaton症候群
禁煙 :皮膚筋炎
出典:オリジナル
解説
傍腫瘍症候群とは、悪性腫瘍に伴う神経障害の総称で、傍腫瘍性神経症候群とも呼ばれます。悪性腫瘍に対して産生された抗体が、神経系に交叉することで様々な症状を呈します。
併発しやすい腫瘍が知られており、以下の3つを覚えましょう!
- Lambert-Eaton症候群:肺小細胞癌
- 皮膚筋炎:胃癌
- 抗NMDA受容体抗体脳炎:卵巣奇形腫
Lambert-Eaton症候群は、神経筋接合部の電位依存性カルシウムチャネルに対する自己抗体の出現によって、下肢近位筋優位の筋力低下をきたす疾患ですが、肺小細胞癌によるものが最多です。
皮膚筋炎では消化管腫瘍の合併が多く、特に胃癌が最多です。
辺縁系脳炎のうち、抗NMDA受容体抗体脳炎は卵巣奇形腫を合併することが多いことも覚えておきましょう。若年女性で、感冒後に抑うつ・幻覚・妄想などの精神症状を急性発症した場合は本疾患を疑い、速やかに卵巣奇形腫の検索・切除を行う必要があります。ここら辺の話は、佐藤健&土屋太鳳主演の映画「8年越しの花嫁」で有名かもしれませんね。
国試にチャレンジ!
第97回 医師国家試験 C-01(一部改編)
59歳の男性。歩行時のふらつきのため来院した。
現病歴:1年前から階段昇降時に両下肢に力が入らず、半年前から歩く時にバランスをとりにくいこと、ろれつが回らないことに気付いた。
現症:全身状態は良好である。腰肢体筋の筋力低下はあるが、歩行の持続によりその筋力評価は改善を示す。筋萎縮・筋把握痛・筋トーヌス異常は認めない。水平性の注視眼振がある。発語は緩慢であり小脳性の構音障害を認める。独歩は不可能であり、両腕を支えると失調性歩行を認める。
検査所見:右尺骨神経の電気刺激を50Hzで施行すると漸増現象が確認された。胸部X線写真では左肺野に腫瘤影が見られ、頭部単純MRIのT1強調矢状断像では小脳の萎縮が見られる。
入院時経過:入院3週後に肺病変の摘出術を施行、術後1ヶ月目から腰肢体筋の筋力低下と失調性歩行が改善した。
腰肢体筋の筋力低下の責任病巣はどれか。
a 脊髄白質
b 脊髄神経根
c 腰部神経叢
d 神経筋接合部
e 筋肉
解答はこちら
d
解説)
肺がんの出現によって、Lambert-Eaton症候群及び亜急性小脳変性症を来たした症例になります。筋力低下はLambert-Eatonによるもので、本疾患の病巣は神経筋接合部でした。
例題のように、一見何の関係もないような様々な症状が同時に記載されていると、一瞬戸惑ってしまうかもしれませんが、そんな時は落ち着いて一度傍腫瘍症候群の可能性を検討してみると良いかと思います。
この記事を書いた人
原案@hoppy_mouse
イラスト@hoppy_mouse
わての名前はホッピーマウス☆
こう見えて、ハムスターなの。飼い主のなまっぺにいたずらされて、頭に黒のビニールテープを貼られたけど、意外と気に入ってるんだほい。だから舞浜とは1mmも関係ないんだほい。よろしくな☆